九州大学の12の学部から、ここまで理系学部を中心に取り上げてきました。続いては、共創学部・文系学部の紹介です。文系の中でどの学部を選ぶか迷っている人やそれぞれの学部の具体的なイメージが持てていない人は、ぜひこれから紹介する九大生の生の声を参考にしてください!
数ある学部の中で九大生たちはどのようにして学部を決めたのか、そして今何を学んでいるのか、徹底調査します!
文理融合?! 留学必須?! 激レア学部、その名も共創学部!
文理融合で、留学が必須というほど語学教育に力を入れている共創学部。筆者(1年)は、観光や地域創生といった文理をまたぐ学問の分野に興味があったこと、そして留学がしたかったことが理由で共創学部を選びました。他の共創学部生も、「幅広い分野を学ぶことで自分の視野を広げたい」、「自分の好きなことが自由に学べる」といった理由で共創学部を選んだそうです。文理融合と言っているように、高校時代の文系・理系の割合は体感的に半々ぐらいです。また、この学部では高校時代の文系・理系に関係なく多様な分野を履修できるので、「高校では文系だったけど共創学部に入ってからは理系の分野を研究している」というような人も少なくありません!
共創学部に入ってからは、英語の授業がとにかく多く、グループディスカッションやプレゼンなどを通して英語を「学ぶ」というよりも「使う」練習をしているような感覚です。プレゼンなどの準備は慣れるまでは大変ですが、友人と助け合うことで仲が深まるきっかけにもなります。また、留学生も多いので実用的な英語を身につけたいという人には最高の環境です!
筆者の周りの共創学部生は、難民問題や観光業の開発、ユニバーサルデザインなど、一人一人が全く異なる分野に興味を持って取り組んでいます。そして、共創学部での4年間の集大成として行うディグリープロジェクト(卒業研究)の過去のテーマを見てみると、環境問題やジェンダー、教育制度など文理の枠を超えたものがたくさんあることが分かります。4年間を通して、学部として決められた学問を学ぶのではなく、自分が興味のある分野の授業を自分で選び、学んでいくというスタイルが従来の学部とは大きく異なる点であり、魅力的だと思います。
そんな共創学部で過ごしていて楽しいと感じることは何かを共創学部生に聞いてみると、「それぞれが異なる分野に興味を持っているので、自分が知らない分野についても知ることができて楽しい」という声が圧倒的に多かったです。確かにその通りで、この学部には本当に色々な人がいて、筆者も個性豊かな友達と日々過ごしています。また、海外に行ったり、学外での活動をたくさんしていたりするなど、アクティブな人が多いというのも感じています。多様な考えを持った友達と過ごす日々は刺激的で、とても楽しいです!
共創学部は他の学部と比べて授業の分野が多岐にわたっていて、自分の学びたいことに合わせて様々な授業を取れる、自由度がとても高い学部です。しかし、その分、自ら積極的に学んでいく姿勢が重要になっていきます。そんな共創学部は、好奇心が旺盛で色々なことにチャレンジしたい人、自分の視野を広げたい人、周囲からの刺激をバネにして頑張ることができる人などにとてもおすすめの学部です!
ここまでは共創学部の魅力をたっぷりと伝えてきました。ここからは文系学部について掘り下げていきたいと思います!
法学部
九大の法学部の特徴としては、英語力を重視した推薦入試が実施されていることや、本来4年間の教育課程を3年間で終わらせて入学4年目には大学院に進学できる「法曹コース」があることが挙げられます。また、他の旧帝国大学の法学部よりも女子の比率が高いというのも特徴です。
筆者は、幼い頃に母に裁判所に連れて行ってもらい、他人の人生という重い責任を負いつつも堂々とした発言をする法曹界の人々の姿に憧れを持ち、法学部への進学を考えるようになりました。周りの法学部生にも法学部を選んだ理由を聞いてみると、「文系学部の代表だというイメージがあったから」や、「法学部と経済学部で迷って各教科の点数や男女の比率で最終的に決めた」と言った声がありました。
また、法学部では3年生からゼミに入ります。法学部のゼミでは、少人数で専門的に詳しく法学や政治学などを学ぶことができます。例えば、憲法ゼミに所属している先輩は、ゼミ内で憲法判例や文献の一つをテーマにして報告を行っています。班ごとで報告を行うので、仲も深まり、三人寄れば文殊の知恵という感じで自分だけでは限界がある勉強もこなせるようになるそうです! また、ゼミ研修があり、本年度は自衛隊基地問題などについて現地で学ぶために沖縄に行く予定です。ゼミ研修の行き先は自分たちで決定でき、他にも追加でやりたい事があればやらせてくれます。主体的に学べるところもゼミのいいところです! ゼミでは、授業でできない学びを深めることができ、有意義な時間を過ごすことになるでしょう。
法学は大学から学び始める学問なので、もちろん難しいです! 法学部に入ってみて、授業の難しさにはとても驚きましたが、法律知識が身につくだけでなく、思考力や論述力を伸ばすことができ、今では楽しいなと思う授業も増えてきました。法学部は成績評価がテストのみで行われることも多く、試験期間はなかなか苦しめられます。高校のテストとは違い、法学部のテストは、覚えればOKというわけではなく、覚えたことを組み立てて長い長い文章で解答する必要があります。この中で、様々な力が養われていくと思っています! 1年生のときにある法学入門と政治学入門という授業以外は選択必修授業なので、自分の学びたい科目を学べるという点も魅力の一つです!
最後に、法学部ではたくさんの本や判例、論文を読んで学んでいくので、活字に触れる機会が多いです。文章を読むのが苦ではない人、楽しめる人は法学部に向いているかもしれません! 法学部に入ったら、将来、トラブルに巻き込まれたときに自力で解決できるかも! 私たち法学部生と一緒にリーガルマインドを鍛えませんか?
経済学部
経済学部には経済・経営学科と経済工学科の2つの学科があります。経済・経営学科は文系学科ですが、経済工学科は共通テストで理科が2科目だったり、2次試験で数Ⅲ・Cを使ったりするため、経済学部ではありますが理系学科であるという特殊な学科です。
筆者は、教科書の欄外に載っていた「行動経済学」に興味を持ち、それを調べていくうちに経済学全体にも興味を持つようになり、経済学部の経済・経営学科を選びました。周りの経済・経営学科の学生は、「文系だけど数学が好きだった」や、「お金の流れに興味があった」、「起業したかった」などの理由から経済学部を選んでいました。
また、経済工学科の学生に選んだ理由を聞いたところ、「理系だけど理科が苦手だった」や「理系では入れる経済学部が限られていたから」、「理系視点で経済学を学べるから」といったものがありました。
実際、入学して気づいた経済学部の特徴は、学業以外のやりたいことにも時間を割くことができるところだと思います! 大学生は自分で時間割を組みますが、経済学部は平日に授業のない「全休」という日を作りやすいです。また他の学部に比べて、オンラインの授業や出席が取られない授業も多いのも特徴です。しかし、授業に全然行っていないと、テスト前にゼロから勉強しないといけないので、ちゃんと行くことをおすすめします……。
経済学部でも3年生からゼミに入ります。現在、環境経済学について学んでいる経済・経営学科の3年生は、引用したデータをエクセルで作った数式に入れて分析し、環境や経済への影響を研究しています。数学が苦手な人でも、ゼミによっては数字を全然使わないところもありますし、数学の授業も心配するほどの難易度ではないので安心してください!
経済学部の4年生の進路を聞いてみると、金融系(銀行、商社、証券会社)、不動産、食品系、公務員、大学院進学など、幅広いので、経済学部だったらこの職業につくというのはあまりありません。
筆者自身、経済学部に入ってから社会で起きていることをデータや経済的視点から理解できる面白さを実感しています。ニュースなどでみる経済情勢に対して、自分の意見を持てるようになりました。また、ほとんどのニュースは経済に結び付けることができます。よくニュースを見ている人は、自分の視野を広げる学びができると思います!
学ぶことが多岐にわたる経済学部は主に将来の夢が決まっていない人におすすめです! 私たち経済学部生と一緒に自分の将来の幅を広げませんか?
文学部
文学部は、哲学・歴史学・文学・人間科学の4コースの下に、21の専門分野が置かれています。九大の文学部では2年次からいずれかのコース・専門分野の研究室に配属され、専門分野の講義を受講するとともに、文学部の全ての分野の様々な授業を履修することができます。また、必修が少なく、自分の興味のある授業を履修しやすいことも、文学部の特徴です。幅広い分野から選択し、学ぶことができるため、大学生活を通して興味を持てることを探したい人にはおすすめです!
インタビューに答えてくれた文学部の1年生は、高校時代の学習の中で歴史が最も好きで、大学でさらに追求したいと思い、文学部を選んだそうです。実際に入学してからは、文学部で学べることの幅広さや、2年生の早い段階から研究室に配属されて自分の学びたい分野の専門的な勉強が出来ることが、文学部の魅力だと感じているそうです。
他の文学部生にも文学部を選んだ理由を聞いてみると、「興味のある複数の分野が文学部にあったから」や、「他の文系学部と違って、文学部の2次試験には社会があるため、苦手な数学の代わりに得意な世界史で点数を取ろうと思ったから」といった理由が挙げられました。
現在、日本史を専攻している2年生は、奈良時代や室町時代の手紙や歴史書を読んで、当時の政治や商業について学んでいます。
このように文学部では、歴史をはじめ、言語や思想など幅広い分野を専門的に学ぶことができます。歴史や語学などを学びたい人、カウンセラーや教員になりたい人には特におすすめです(九大出身の教員は文学部の人が多い)。「自分の好きがまだわからない」という人も、多彩な授業の中で新しい興味を見つけてみませんか?
教育学部
教育学部というと、教員を目指して学ぶ学部のイメージがありませんか? 実は、九大の教育学部は教員養成を目的にした学部ではなく、教育に関わる諸問題について研究する、という側面が強いのです! 大きくは教育学系と教育心理学系に分けられます。
卒業後の進路としては、教育学を専攻した人は教育関連の企業に就職することが多く、教育心理学を専攻した人はカウンセラーや臨床心理士などの専門職を目指すケースが多く見られます。
とある教育学部生は、心理学に興味があり、それを学ぶことができる学部だったのでこの学部を選びました。教育学部で心理学を学べるということを初めて知ったときは驚いたそうです。
他の教育学部生が教育学部を選んだ主な理由としては、「教育学や子供の成長に興味があったから」や「教育学部と法学部で迷って点数で決めた」などが挙げられました。
教育学部の1番の特徴として、ひと学年の学部全体の人数が50人と、他の学部と比べても少人数体制なことが挙げられます。その分、同級生と仲良くなりやすく、教授や先輩とも距離が近いため、アットホームな雰囲気で学べるのが魅力です。
教育学部の2年生は、子どもの好奇心と、それが子どもの成長にどういう風に与えるかに関心があったため、子どもの内面に着目した教育心理学のアプローチや、子どもを取り巻く環境に着目した教育社会学のアプローチに関連した授業を受けています。また研究内容としては、日本式教育の輸出について興味があり、長期休み中に教育学部のプログラムで実際にベトナムに学びに行きました。
九大の教育学部は、学校や教育に疑問・関心がある人、子どもの発達に関心がある人などにおすすめの学部です。学校の教員とは違った視点で教育について考えてみませんか?
最後に
ここまで共創学部と4つの文系学部の紹介をしてきました。各学部に通う学生目線の学部の特徴や雰囲気などが少しでも伝わっていたらうれしいです! 自分の興味のあることや好きなことがどの学部で学べるか、入学した後のこともイメージしながら吟味してみてください。
